近年、大規模な地震や台風などの自然災害が相次ぎ、長時間にわたる停電への備えはますます重要視されています。家族や自分自身の安全を守るうえでも、非常時に必要な電気を確保する手段を用意しておくことは欠かせません。そこで注目されているのが、家庭用蓄電池やポータブル電源、モバイルバッテリーなどの各種バッテリー製品です。本記事では、停電対策としてこれらのバッテリーの特徴や選び方、使い方などを分かりやすく解説し、いざというときに役立つ情報をお伝えします。

1. 地震と停電のリスク
- 長時間の停電が起こりやすい
地震の被害が大きい場合、電柱が倒れたり変電所が被害を受けたりして、広範囲かつ長時間にわたる停電が発生する可能性があります。
- 情報収集と連絡が重要
スマートフォンやラジオ、インターネットなどから得られる情報は、避難経路や救援情報の把握に必須です。しかし、停電になれば充電やインターネット接続の手段が限られます。
こうした状況で、緊急時でもある程度電力を確保するために、以下のような機器が活躍します。
2. 蓄電池(家庭用蓄電池)の特徴
- 家庭の電気を一時的にまかなえる
家庭用の蓄電池を導入すると、太陽光発電や深夜電力で蓄えた電気を停電時に活用できます。容量が大きい機器であれば、冷蔵庫や照明・携帯電話の充電など、一定期間は電力を供給できる場合があります。
- 設置方法とコスト
家庭用蓄電池の多くは屋外や屋内に据え置きで設置するタイプで、工事費用や本体費用を含めると数十万円~数百万円程度になることがあります。
- 太陽光発電との組み合わせ
太陽光発電システムと組み合わせると、昼間に発電した電力を蓄電池にため、夜間や停電時に活用することが可能です。災害時のレジリエンス向上という点で注目されています。
3. ポータブル電源(ポータブルバッテリー)の特徴
- 外出先でも使える据え置きタイプの大容量バッテリー
一般的なモバイルバッテリーよりも大容量・高出力で、ACコンセントやUSBポートなど複数の出力端子を備えています。小型家電やノートパソコン、スマートフォンなどを同時に給電できるモデルもあります。
- 充電方法が多様
コンセントからの充電に加え、太陽光パネルを接続してソーラー充電ができるモデル、車のシガーソケットから充電できるモデルなどがあります。災害時は停電が長引く場合もあるので、複数の充電手段を用意しておくと安心です。
- 必要な容量の目安
- スマホやタブレットの充電が中心の場合:数百Wh程度
- ノートパソコンや小型家電も使用したい場合:500Wh以上
- 冷蔵庫や電子レンジ、電気ケトルなど比較的消費電力が高い家電を動かす場合:1,000Wh以上
自身の使いたい機器の消費電力に応じて容量を選ぶことが大切です。
4. モバイルバッテリー(携帯型バッテリー)の特徴
- 携帯性重視で手軽に準備できる
モバイルバッテリーはコンパクトで持ち運びが簡単です。日常的にも外出先でスマートフォンを充電できるため、災害時は当然ながら非常用電源としても役立ちます。
- 容量の選び方
スマホ1回分充電の2,000~3,000mAh程度から、タブレットにも対応可能な10,000mAh以上の製品などさまざまです。災害時に備えるなら、スマホを2~3回程度フル充電できる10,000mAh以上のモデルを一つ持っておくと安心でしょう。
- ソーラーチャージ付きモデル
太陽光パネルが付いている製品もあり、停電が長引いても天候次第では充電が継続可能になります。ただし、発電量は限定的なので、「ないよりはマシ」程度の補助として考えるのが現実的です。
5. 非常時に備えてのポイント
- まずは身の安全を優先
大きな地震が発生したときは、最初に自身や家族の安全を確保することが最優先です。落下物や倒壊の危険がない場所に移動し、揺れがおさまってから落ち着いて行動します。
- 停電していないうちに充電
余震などで二次被害が発生し、突然に停電となる場合もあります。揺れがおさまって電気が通っているうちに、スマホやモバイルバッテリー、ポータブル電源などは可能な限りフル充電しておきましょう。
- 用途に応じて「複数種類のバッテリー」を準備
- 大型家電を短時間でも使いたい場合は「ポータブル電源」や「家庭用蓄電池」
- スマホ・タブレットの充電が主目的であれば「モバイルバッテリー」
といったように、複数の電源供給手段を持つことで、緊急時の対応力が高まります。
- 日常的なメンテナンス
バッテリーは放電し切ったまま長期間放置すると劣化します。ときどき充放電を行い、正常に動作するか確認しておく習慣が大切です。
- 防災グッズの一部としてセット化
懐中電灯やラジオ、非常食や飲料水、防寒具などと一緒に、バッテリー類も常備しておくと、いざというときに取り出しやすくなります。
まとめ
地震をはじめとする災害時においては、**「情報収集」と「連絡手段の確保」**が重要です。そのためには、停電時でも使える電源の準備が不可欠となります。家庭用蓄電池やポータブル電源、モバイルバッテリーなど、用途や費用に合わせて必要な電力容量の製品を用意しておきましょう。
また、非常時に実際に使える状態を維持するため、日頃から定期的に充放電のチェックを行い、防災グッズの一部として充電ケーブル・変換プラグなども含めてセットしておくと安心です。